遺言書をこれから準備する人、何度か書き直している人と様々ですが、まず基本のキとして2種類に分けられます。
(1)公正証書遺言
法律専門家の公証人が2人以上の承認の立ち合いのもと作成。公証人に対し財産の価額に応じた手数料が必要。
(2)自筆証書遺言
法令上の要件を満たせば費用をかけずに自由に作成できる。代筆は認められず自身で作成しなければならない。
ご相談に多い、自筆証書遺言は手軽に始めることができる反面、
・様式の不備で無効になることがある
・紛失や改ざん偽造、盗難の恐れ
・遺言書が相続人に発見されない
・家庭裁判所の兼任が必要
などのリスクや負担がありました。このようなトラブルを未然に防ぐために、相続手続きをスムーズにできる新制度【自筆証書遺言初保管制度】が2021年7月に法務局にて始まりました。自筆で作成した遺言書を法務局(遺言書保管所)に保管でき、死亡後相続人へ通知できる制度です。(申請1件(遺言書1通)につき,3,900円)
ただし、法務局では遺言書の形式面だけを審査し内容については一切関与できないため、トラブルが予想される相続の場合は、公正証書遺言として残されることをお勧めいたします。
遺言書の書き方(形式的な面)については「日付」「本文」「氏名」を自著し、押印すれば法的に有効な遺言書が作成できます。ただし簡単なようで中には
・日付を書かなかった
・署名を連名で書いた
・押印し忘れた
といった失敗談も多く聞きます。
本文も日本語として意味が通じる内容であれば問題ありません。ただし、曖昧な表現により遺言内容の解釈が分かれるような場合は遺言書としての意味をなさないので注意が必要です。
例えば、「山形にあるアパートは長女に相続させる。」などといった対象物件の特定(住所や所有数)が不十分な表現とみなされ遺言の当該部分に効力が認められなくなります。「何となく伝わるだろう」「家族なら皆まで言わなくても分かってくれるはずだ」という気持ちで書いては無効となってしまいます。
遺言書作成で最も大きな点は、相続における紛争を防止する内容になっているかという点(実質的な面)と考えます。遺言書を作成しようと思うに至るまでは、何らかのご心配事があったのだと推察いたしますが、その心配事を解決できる遺言書でなければ意味がありません。紛争防止のための遺言書として有効か否かはご家庭の状況を詳しく伺い専門的知識に基づいて判断する必要がありますので、専門家への相談を強くお勧めいたします。
まずは気軽にエンジョインサロンの遺言書セミナーに参加されてみてはいかがでしょうか。
supervision:行政書士 三部 浩幸