1月8日は、大人の仲間入りをお祝いする成人の日ですね。昭和23年(1948年)に「国民の祝日に関する法律」により定められ、1月15日が「成人の日」となりました。「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝いはげます」日とされています。ハッピーマンデー制度により、平成12年(2000年)からは1月の第2月曜日が成人の日となりました。成人の日に合わせて各地で「成人式」も開催されます。
◆成人式はいつはじまったの?
日本には、奈良時代以降、「元服」とよばれる大人の仲間入りを祝う通過儀礼がありました。
公家や武家の男子は、12~16歳になると、氏神様の前で大人の服を着て、子どもの髪型から大人の髪型になり、成年を象徴する冠(武家では烏帽子)をつける儀式「初冠(うひかぶり)」を行っていました。「元」は、首(頭)、「服」は、着用を意味します。
女子も、12~16歳になると、腰から下にまとう「裳着(もぎ)」とよばれる衣服を着て、おろしたままだった髪を結いあげる「髪上げ」の儀式を行っていました。年齢はあくまで目安で、結婚したときに行われることが多かったようです。お歯黒をつけ、眉剃りもしていました。
また、庶民の間では、褌祝(ふんどしいわい、へこいわい)という初めてふんどしを締める儀式が成人の証として行われていました。
現在のような成人式が行われるようになったのは、終戦の翌年、昭和21年(1946年)に埼玉県の蕨(わらび)町で行われた「青年祭」がきっかけといわれています。その中で行われた「成年式」が成人式の発祥となり、全国各地に広がったといわれています。
奈良時代の日本では、12~16歳が成人の年齢でした。明治9年(1876年)に「自今満弐拾年ヲ以テ丁年ト相定候」という太政官(だじょうかん)布告により、成人年齢が満20歳と定められ、兵役につく義務を課せられる「徴兵(ちょうへい)検査」の年齢も20歳でした。当時は海外に比べ成人年齢は低かったのですが、日本人の平均寿命が40歳代と短かったこと、精神的に成熟していたことなどから20歳に定められたようです。そして、令和4年(2022年)4月、民法が改正され、成人年齢が18歳に引き下げられました。海外の成人年齢は、現在では18歳が主流のようです。
令和5年(2023年)以降の成人式は、これまで通り20歳を対象に行う自治体が多いようです。しかし、一部地域では、令和5年(2023年)1月に20歳、3月に19歳、5月に18歳の成人式を行い、令和6年(2024年)からは18歳を対象に成人式を行うと発表しているところもあるようです。
【成人式にはどうして振袖を着るの?】
振袖には、厄除けの意味が込められています。
日本では古くから、「振る」という仕草に、厄を払う、お清めの意味があります。女性は19歳で最初の厄年を迎えることもあり、長い袖を振ることで厄を払い、病気や災いのない人生を送ることができるようにと願いが込められています。また、明治時代以降、未婚女性の第一礼装は振袖とされてきたことに由来しているともいわれています。
【振袖の袖はなぜ長いの?】
日本では、昔は日常的に着物を着ていました。体温の高い子どもの着物は、小袖の脇が大きく開き、熱を逃がしやすい仕立てになっていました。これが振袖のはじまりといわれています。江戸時代初期になると、振袖は、子どもの着物から未婚の女性が着用する正装着となりました。当時、女性の踊り子が、所作が美しく見える振袖を着て舞台に立ち、袖を振ることで愛情を表し、袖にすがることで悲しみを表していました。この感情表現を未婚女性たちがまねをして流行したといわれています。結婚した女性は、袖を振る必要がなくなるため、袖の短い「留袖」を着るようになったともいわれています。