1年の最後の日を「おおみそか」といいます。年越しとは本来、年神(としがみ)様を迎えるための準備をいいます。年末に正月の準備を整えて年越しそばを食べたら、夜は家族でゆっくり過ごし年神様をお迎えしましょう。
【大晦日のはじまりと由来】
昔の人は、月の終わりの日を「晦(つごもり)」とよんでいました。また、月末はだいたい30日にあたるので、「晦日(みそか)」ともいわれていました。そして、12月31日はその年最後の月末というわけで、「大」を付けて「大晦日(おおみそか)」「大晦(おおつごもり)」といわれるようになりました。新しい年を迎える前に、1年間たまったほこりや汚れを落として家の中の大掃除をします。これを「煤払い(すすはらい)」といいます。
【年末にする新年の準備】
正月準備は煤払いから
昔は、正月の準備を12月13日の「正月事始め(しょうがつことはじめ)」の日から始めました。まずは煤払いから行います。これはただの大掃除ではなく、年神を迎えるために家を清めるための行事です。現在では、この日には神様に関係する神棚などだけにして、家の中の掃除はクリスマスが過ぎてから行うようになりました。掃除が終わると正月の準備をしていきます。
◆餅つき
正月のための餅をついておきます。一般的に、12月25日から30日までの間に行われますが、1日だけ餅をつかない日があります。9という数字が「苦」を連想させるため、29日は餅つきを避ける地域が多くあります。また、大晦日は「一夜餅」といい、昔から縁起が悪いとされています。
◆歳の市(としのいち)
しめ飾りや門松などの正月飾りや、新年の食べ物など、正月に必要なものを売っている市に出かけます。
【「正月飾り」を出すのにもタイミングがある?】
「正月飾り」は、家に年神様をお招きするために飾ります。末広がりの「八」の字が入っている縁起の良い28日までに飾ると良いとされています。餅つき同様、「苦」を連想させる29日と、一夜飾りになってしまう31日は一般的に避けます。正月飾りを大晦日のみに慌ただしく飾るのは年神様に対して失礼にあたるとされているからです。
【一般的な正月飾り】
◆門松
お正月を迎えるにあたって、門や玄関に松を飾ります。この松を「依白(よりしろ)」として、お正月に「年神様」が降りてくるといわれ、目印の役目を果たします。
◆鏡餅
年神様へのお供えの餅。鏡餅の形は「三種の神器」である、鏡(=餅)・玉(=みかん)・剣(干し柿)を表しているといわれています。「重ね重ね」という願う気持ちから、餅が二段に重なっている、陰(月)と陽(太陽)を表しているなどといわれています。
◆しめ縄、しめ飾り
神社と同じように荒縄で作られたしめ縄は清らかな場所を象徴し、災いをもたらすものを防ぐお守りといわれています。最近はしめ縄に縁起物などの飾りをつけた「しめ飾り」がよく飾られるようになりました。
【大晦日にすること】
◆年越しそば
年越しにはそばを食べます。そばは金や銀をそばに集める縁起のいい食べ物といわれています。また、「そばのように細く長く生きられるように」という願いも込められています。
◆除夜の鐘
大晦日の夜12時を挟んで、寺の鐘を108回つきます。人間には108つの悩みや苦しみがあるといわれています。除夜の鐘を聞くことで、一年の罪や苦しみを一つずつ取り払い、心身を清めて新年を迎えます。
◆夜更かし
正月の年神様を迎えるために、昔から眠らずに夜を過ごす風習がありました。
昔は日没が1日の終わりとされていたため、12月31日の日没までが大晦日でした。そのため、正月の準備は日没までに終わらせ、夜中から明け方にかけて年神を迎える祭りを行っていたのです。その代わりに、正月の元日は一日中寝て過ごす「寝正月」といわれていました。