5月14日は、母の日でしたね。思い思いの感謝の気持ちを伝えられましたか?
さて、6月は1年のなかで唯一、祝日がない月です。祝日は皇室関連の伝統行事や何らかの記念日などが起源になりますが、特別な皇室行事や記念行事がなかったため、祝日が無いまま今に至ります。
しかし、6月の年中行事を忘れてはいけません。6月18日はお父さんに感謝の気持ちを伝える「父の日」です。
【父の日はどうしてできたの?】
母の日同様、世界にはさまざまな「父の日」があります。日本の「父の日」は、アメリカのソノラ・スマート・ドットという女性が、父親への感謝を込め、墓前にバラを供えたのが起源だといわれています。ソノラが16歳の時、母親が6人の子どもを残して亡くなってしまいます。その後、軍人だった父親が南北戦争から戻り、子どもたちは男手一つで父親に育てられたのです。戦後の世の中、家事や育児をしながら働き、生活を支えた父親も、子どもたちがみな成人した後、亡くなってしまいました。末っ子だったソノラは、教会で行われていた集会で「母の日」があることを知りました。そして、「父親にも感謝する日を作ってほしい」と、1909年(明治42年)に牧師協会に嘆願したのです。そして、1910年(明治43年)6月19日に「父の日」の最初の祝典が開催されました。ソノラの父親の誕生日である6月5日に式典を予定していましたが、準備が間に合わなかったため、6月19日に開催されたのです。その日が第3日曜日だったことから、6月第の3日曜日が「父の日」として定着していきました。その後、アメリカの大統領も「父の日」の活動を称賛し、昭和47年(1972年)には国の記念日として「父の日」が正式に制定されました。
【日本ではいつから「父の日」をお祝いするようになったの?】
「父の日」は、1950年(昭和25年)ごろにアメリカから日本へ伝わりましたが、当時はあまり浸透しなかったようです。明治から大正時代にかけて伝わった「母の日」はすでに日本中に広まっていましたが、「父の日」が日本に浸透したのは、1981年(昭和56年)に「日本ファーザーズ・デイ委員会」という「父の日」の活動を広める団体が設立されてからといわれています。『ベスト・ファーザー イエローリボン賞』という著名人の中から「素敵なお父さん」に賞を贈るイベントが開催され、他にも、デパートの販売戦略で父の日のイベントを始めたり、お父さんの似顔絵や作文コンクールを開催したりするなどして、父の日が全国に広がっていきました。
【父の日にはどうして黄色いバラを贈るの?】
「父の日」といえば黄色いバラをイメージしますね。これは日本独自の文化なのですが、『ベスト・ファーザー イエローリボン賞』に影響しているようです。
ソノラが父親の墓前に白いバラを供えたころに由来し、アメリカでは「母の日」と同じように、健在のお父さんには赤いバラを、亡くなったお父さんには白いバラを贈るのが一般的です。
黄色には、「幸福」「希望」「尊敬」などの意味があり、アメリカではさらに「愛する人の無事を願う」という意味もあるそうです。そこで、「献身」「さわやか」という花言葉も持つ黄色いバラが父の日のシンボルとされるようになったようです。
父の日は、アメリカや日本だけでなく世界各国にありますが、日付や由来などはそれぞれ異なります。
アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、中国などの「父の日」は日本と同じ、6月の第3日曜日です。
カトリック系のイタリアやスペインでは、3月19日の聖ヨセフの日を「父の日」とし、ゼッポレと呼ばれる揚げパンのようなお菓子を食べます。オーストラリアやニュージーランドでは、9月の第1日曜日。韓国では、もともと母の日だった、5月8日が「オボイナルの日」(父母の日)になっています。
台湾では、8月8日が「パパ」のごろ合わせから「父の日」となりました。
ロシアでは、「祖国防衛の日」である2月23日が「父の日」で、父親をはじめロシアを守るすべての男性に感謝のメッセージやプレゼントを贈る日とされています。
ドイツでは、イースターから40日後の木曜日「キリスト昇天祭」と同じ日が「父の日」とされ、お父さんをはじめ、男性が自由に楽しく過ごす日になっています。
日本では、お父さんに日頃の感謝を伝える日として定着していますが、ドイツではお父さんにゆったりしてもらう日というイメージが強いのかもしれません。